山木康世with石川鷹彦 北海道ライブツアー
2001年9月1日(土) in小樽一匹長屋 開演19:00
『彩紋詞戯』さんのレポートです。

第1部
1、「おめでとう乾杯」
2、「ジャマイカの風」
3、「白い冬」
4、「風来坊」
5、「思えば遠くへ来たもんだ」
6、「メロディ」
7、「寝ぼすけじいさん」
8、「なおちゃん」

第2部
9、「チャーリーの長靴」
10、「Angi(S&Gより)」
11?、「石川鷹彦イントロコンサート(笑)〜22才の別れ
               〜花嫁〜あのすばらしい愛をもう一度」
12、「再会」
13、「心に冷たい雨が降る」
14、「木蓮の花」
15、「しだれ柳の九月の雨」
16、「春雷」

アンコール
「やさしさとして思い出として」
「おめでとう乾杯」
「星の夜」


この日は、関東から来た友人達と一緒に見に行きました。
途中、地元の友人達も合流して、一気に大所帯。みんな、会話も弾みます。

例えば名前は知らなくても、顔だけでもいいから知ってる人が会場にいる、
「あ、今回も来てますね(^^)」って、自分の好きな唄い手を肴に、会話が出来る人がいる、というのは
嬉しいものですよね。
地元友人とは、そうして彩がナンパし(声をかけ)て、その友人がまたナンパして(笑)、そうして
広がった輪が、みんなでわいわい!と開場を待ってるその光景がね、私にはとてつもなく、うれしい
ものでした。

今夜もいいライブになりそうです(^^)

ここ小樽一匹長屋は、小樽駅と南小樽駅の中程にある繁華街にある、ライブ居酒屋で、店内は、時代に
さらされて色濃くなった丸太を積み上げたような内装です。
テーブルや椅子は丸太を切ったもので、灯りをちょっと落としたその雰囲気は、何度来ていても落ち
つきます。

ここも、山木さんのライブ会場としてはお馴染みの所で、近年、札幌でのライブは殆どないので(涙)、
札幌近郊組はここに見に来るのです。
いつもはゆったりした感じで座れていても、今日ばかりは満員御礼。急遽、通路にも椅子を並べる程。
それでも、当日券目当てのお客が、次から次ぎへとやって来る中、開演を待ちます。
旭川と同じく、最初は山木さんだけの登場、続いて、石川先生の登場です。


「おめでとう乾杯」が終わって、まずはご挨拶。
石川先生は小樽に来ること自体は初めてではないけれど、ギター弾くのは初めてとのこと。
数々のアーティストと、ツアーで全国をまわっていても小樽となると、なかなか機会はないのでしょう
ね。


2、「ジャマイカの風」
この曲では元唄と同じ感じで、たくさん、先生のハモりがありました。
今回のライブでは全般的に、先生がハモりを押さえている印象を受けるのですが、演奏もそうだけど、
声もたくさん重なる方が私は好きです。先生はお声もいいですよ。ぽろぽろと、ウクレレの音もこぼれ
落ちます。

山木さん、去年つくったアルバム「静かに水の流れが〜」を全面的に頼みまして、いつか、北海道で
石川先生との共演、小樽での共演が出来たらいいなと、思っていました。
時間が過ぎて行くのがもったいないくらい、共演させて頂いて幸せです、と山木さんの熱い思いが。

石川先生との付き合いは古い。「白い冬」のレコーディング時に、先生にギターを弾いて下さった時、
自分達がつくった唄が宝石のように輝くようだった。
で、終わった後、普通なら(すごい人が相手だと)近寄りがたいのに、わざと近づいてきて、わざと
北海道弁で(夏なのに)「北海道は寒いっしょ(笑)」と声をかけてくれて、ミュージシャンの心を
捕まえる(笑) 新人にとてもやさしい方でしたと、昔話が。

それを受けて、石川先生。
東京は長いんだけど、北海道出身と聞いただけで、すぐに親近感が沸くんだよな。ガソリンスタンドで、
応対の人が少しでも北海道なまりがあると、「北海道でないかい?」(彩注:北海道弁/抑揚は上(笑))
と思わず聞いてしまう(笑)、仕事相手が北海道出身と聞くと、「あ、頑張らなきゃ」と思う。
なんなんだろうな、あれ(笑)

彩は思います。そりゃ、石川先生も道産子、だから、ですよ(^^)

このMCの後の「白い冬」は、旭川以上に、山木さんの、石川先生に対する敬意の気持ちが伝わって
くるようでした。

この後、石川先生が夢中になっていることの暴露話?が山木さんから(笑)
先生は野球が好きで、今日も、運転手(旭川のマスターかな?)と2,30分やっていても息があがら
ない!(会場から感嘆の声)
ご自身も草野球のチームに入って、剛椀ピッチャーでならしているんだそうです(驚き!)
(彩:ギター弾きは突き指が恐いから、野球をしないものだと思ってた)

「来年、プロテスト受けようと思って(笑)」と、笑いを取った後、イチローの試合は今シーズン2,3試合
見逃しただけで、あとは全部見ている。
ビデオに撮ってるのに、朝早くても起きて見てしまう(笑)程、好きとのこと。
あとは「ちゅらさん」 一度見始めると、やめられない質らしい(笑)


5、「思えば遠くへ来たもんだ」
旭川でも聞いていた私は驚きます。石川先生の前奏には、旭川とはまた違った、より哀愁さと望郷の
思いが音に表れていて、先生の「(昨日も見ている奴)こいつはどうだ(^^)」の声が、聞こえてきそう
でした。まさに、ライブの一期一会。

間奏もそうなのだけど、音符の数は少なくても、先生のその、ひとつ、ひとつの音が、余韻を持って、
日本人のやわらかい所を貫くようで、その音が山木さんがつくった曲にはえて、山木さんの声と
重なって、耳に深く響いてきました。私は思います、この音の表情が石川先生の音。

終わって、山木さんがしみじみ言います。
明日は伊達で、明後日は登別で、その後、今年は先生とやる予定はない。
こうして一曲一曲終わっていく、、、練習しに先生の家に行ってやってもこれほど真剣には先生は弾い
てくれない(笑)、コードを確認するくらい。
自分もお客がいないから、そんな時はそれ程真剣には唄わない。
このライブの瞬間が、いいなぁ(^^)と思える、音楽やっていて、いいなぁと思える。

山木さんが今、MCでこうして、素直な気持ちを声に出したのは、この「思えば〜」の先生の音のせい、
なのでしょうね。それ程の名演奏でした。


「寝ぼすけじいさん」が終わって、お二人にほっと一息の雰囲気が感じられる中、山木さんより、お客
さんへの注意点(^^;「ライブハウスは自分とお客と席が近いから、一番前に座っている人は、ライブの
雰囲気を左右する、重要な位置にいることを自覚しましょう(笑)
でも今日はいいですね(^^)、昨日は男性が3人、食い入るように見ていたから、大変でしたよ(笑)」、
そこへ石川先生から爆弾発言、、、

「前に座っている人は、見られても大丈夫という自信があるのかな?(笑)」
(彩:よかったぁ、今日は彩、ずっと後ろに座っていて(^^; 前にいるのは友人達、、、
さぁ今こそ魅惑の表情だ!(笑))


休憩を挟んで、石川先生のコーナーです(^^)v

9、「チャーリーの長靴」
先生のアルバム2枚目「WORDS U」の6番目の曲。昨年、東京銀座での山木さんとのクリスマスコン
サートでもされていたので、ご存知の方も多い筈(^^) この曲が出来た時に、チャーリーチャップリン
が雨の中を長靴はいて踊っているようだから、で、このタイトルなんですよね。

次の曲を何にしようか迷う先生に、山木さんからリクエストがかかります。
イントロだけでもいいですか?と。


11?、「石川鷹彦イントロコンサート(笑)〜22才の別れ
           〜花嫁〜あのすばらしい愛をもう一度」

「22才の別れ」では、イントロの他に、旭川ではなかったエンディングもありました。
あぁ!と、音に酔う会場。目が輝き、身を乗り出す男性達。
山木さんのコードも今日はばっちりで、先生の音も昨日より、より響いて、より、しびれます。
う〜、これを言葉になんて出来ません(涙)

名演奏に酔いしれた会場に、山木さんが話しかけます。
「生きたあれですよね、、、生きたギタリスト!、、、当たり前か(笑)」

それを受けて、先生、「これはどうだ」と、一人で弾き始めてしまいます。
そのイントロだけで、会場は「わあぁ、それもかぁ」と、どよめきます。

「え?それもなんですか?(^^)」と、今度は山木さんが伴奏を担当して、二人で唄会状態です(笑)
花嫁はぁ〜と思わず、最初だけ唄い出してしまう山木さんと会場(笑)、印象的なイントロは、つい唄い
たくなりますよね。

このフレーズ、4小節も石川先生の作品で、「適当にやってっていうから(笑)」スタジオミュージ
シャンを始めて2年目くらいの時、だそうです。

「他にないかな?」と、「あのすばらしい愛をもう一度」のリクエストが山木さんから。
あの流れるようなアルペジオに、会場も「うあぁ!(^^)」

山木さんはこれを学生の時に聞いて、あのサウンドは日本の唄じゃないような、ポップスさを感じたと、
これも先生なんですか、、と感嘆の声が。

もう、このコーナーは先生と山木さんとの唄会に自分も参加してるよう(^^)

「再会」の紹介で、石川先生から説明が入ります。
「”さいかい”と言っても、阪神の最下位ではありません(笑)」
「誰も思いません!」と、突っ込んだ山木さん。「さっ、いくかい?(笑)」

大いに笑う会場に、石川先生から真剣な表情で、お願いがありました。
会場は一転、緊張して、次の先生の言葉を待ちます。

「この曲はとてもデリケートで(会場:高まる緊張)、気分が入ってしまうので、演奏中はなるべく
(会場:ごくっと息を飲む音)、、息をしないで、終わるまで止めていて聞いて下さい。さぁ今の内
に深呼吸(笑)」

会場からは笑い声、、、でも、、本当に冗談だったのでしょうか(笑)

「再会」
先程のお笑い?雰囲気が一気に吹っ飛んでしまう程、この、やさしげで、懐かしさに溢れたメロディ、
そしてギターの音に引き込まれます。
私、この曲、大好きで、今回、ひさひさに再会した友人達を見ながら聞き入ります。
先生と同じ気持ちで、またいつか、みんなで再会出来ますように、、、

弾き終わった途端に、「ぷはぁ(笑)」と、さも!息を止めていたような声を出す山木さん(笑) 
でも、先生の曲をサポートし終えた、大きな仕事をやり遂げた、そんな、緊張が少し解けたような
「ぷはぁ」でした。


13、「心に冷たい雨が降る」
先生のアルバム「WORDS」に、さだまさしさんが送った言葉として、「誰かのアルバムで鳴っていても、
石川さんの”音”は必ずわかる。
どこの何という楽器かなんて大体しかわからなくても、それを弾いているのは石川さんだとわかる」、
この言葉を「確かにそうだ」と耳で感じる唄です。

CDの中で、伴奏ではない、ぽんぽんとひときわ転がる音があるでしょう。
CDではそれはガットギターで、今回の鉄弦とは違うけど、でもあの音だ!
と思わせる、あれが目の前で繰り広げられている、それが彩、幸せでした。

石川先生が、CDとは違って?2番目をハーモニクスの連続で飾っていたのが、また、山木さんの声も
震えていたのが、より、せつなさが伝わるようで印象的でした。
でもきっと山木さんが泣きそうだったのは、唄の背景に思いを馳せたのではなくて、石川先生と共に
出来るから、でしょうね。

*ハーモニクス:
例えば「22才の別れ」で、「昨日の〜(ポーン)ことのように〜」の間のポーンという音のこと。

終わって、石川先生がぽろっと、「この唄が一番好きだなー(^^)」

でもすぐに「いや、すごく好きな訳でなくて、他のがきらいで、、、いや、嫌いな訳じゃないんだよな(笑)、
日本語は難しいな(^^;」しどろもどろな先生(笑)、彩思うのだけど、昨日の「メロディ」もそうだけど、
先生にこれだけ好きだと思わせる唄をつくれる人が、他にどれくらいいるんでしょうね。

この後、旭川であったカラオケがなく、2本のギターだけで進みました。

山木さんより、、失業者がどんどん増えてますね。40代50代の働きざかりのおじさんが1万人規模で
リストラになってね。
自分は42才の時に、自らをリストラして、ふきのとうを辞めて個人に戻った時の気持ちが、次の曲には
少し入ってます。
そういう人達に対して、救いじゃないけど、共有出来るよ、というような唄。
「俺もそうだったよ」と伝わればいいなと、「しだれ柳の九月の雨」に。


16、「春雷」
2本のギターだけで、充分、CDと変わらないイントロ、間奏だったのには驚きました。
やっぱり今日の方が、ライブ、生演奏!と感じました。


アンコールで「やさしさとして思い出として」をみんなで唄った後のことです。
山木さんが次の用意をしながら、たまらずに笑い出します。もう、声にならない程(笑)

代わって石川先生が説明します。
「次の「星の夜」という曲も二人でレコーディングしたのだけど、間奏を凝りすぎて(笑)、転調転調で
やって、その時はよし!と思ったのだけど、ライブでやるのを頭になかったから(笑)、昨日はカポなし
じゃ、もう何とかフラット(笑)、何とかシャープ!(笑)、、、
こういう時のことを考えて、間奏はもっとシンプルにしないと駄目だなー(^^;、
昨日はぐしゃぐしゃで(笑)、もう最先端のジャズ状態(笑)」

山木さんが昨日を告白します。
「間奏が終わって、寂しい部分に入った時に、その音がおかしくておかしくて、声が出ない程で下を向
いていた(笑)、でもそれは、お客から見れば、「山木さんが声つまって唄ってる」と、逆の効果がある
よなと思うと、もうおかしい!(笑)」

彩から質問です。はい、昨日騙された方、何人いますか?(笑)

今日は真面目にやる!と石川先生、カウントを取ります。
元気いっぱいな声で「ワン!、ツー!、ワン!ツー!スリ!フォー!!」
(小さい音で前奏の)チーントーンテーントーン、、、

お客さんもそうだけど、山木さんも笑い出す始末。
もう何度やっても、山木さんは笑って声にならないので(笑)、この曲は後回しにすることに(^^;


「おめでとう乾杯」
サビのかんぱーい!の所で、「後ろ、手をあげてないゾ!」と山木さんからチェックが入るので(笑)、
みんな必死に?乾杯の所で手をあげます(^^)/

間奏となり、「今日か、今月誕生日の方いますか?」とリクエストがあり、お客さんお二人の名前を
覚える山木さん。
でも唄い出したら、忘れてしまって、曲を止めて確認している間に、更に「私もお願いします!」が
2人増えて、名前を覚えるのに更に必死な山木さん(笑)

最後に、「石川さんの今日の日を祝って」「大いなる敬意を表し」と、みんなでひときわ大きな乾杯を
(^^)、最後の最後に「互いの健闘を祝って」同じく大きな乾杯!、なんか彩、この二つも特にうれしか
ったな(^^)

それにしても、山木さん、みんなで声をあげて、楽しくお祝い出来るいい唄をつくりましたよね。
これは今年の春に札幌三吉神社のお祭り用にと、つくった唄なんですよ。
こうしてどんどん歌詞が発展していけるのも、この唄の良さだし、ライブならではの良さですよね。
ただ、名前を即興で覚える山木さんは大変だけど(笑)

では、先程の問題作を(笑)と山木さん。今回は山木さんもお客さんも吹き出すことなく(笑)、「星の夜」も
無事に終わり、小樽ライブ終了。


それにしても、ギターの神様、大御所、巨匠、、、
フォークのみならず音楽の世界の至る所で目にする、石川先生の名前と肩書き。
その演奏を目の前で堪能出来たのも嬉しかったけど、そんな肩書きをふっ飛ばして(笑)
「一緒に北海道でやれるの、楽しいなぁ」と、感じられる、石川先生と山木さんの陽気さ気楽さ、
何より自分達が楽しんでるゾ(^^)、というのがなんだかうれしかったです。2ヶ所共いいライブでした。


(この後、伊達と登別も行きましたが、そのレポはまたいつか、、、)