山木康世with石川鷹彦 北海道ライブツアー
2001年8月31日(金) in旭川アーリータイムス 開演19:00
『彩紋詞戯』さんのレポートです。

その日は、とかく天気が気になる、朝から落ちつかない日でした。
今夜は山木康世氏と石川鷹彦氏とのwithライブ初日、、、勿論、山木さん一人の時も、旭川まで見に
行ってはいましたが、以前より、石川先生の演奏見たさに、さだまさしのコンサートにも行っていた
彩にとっては、このwithライブは本当に、楽しみにしていました。

雨が降れば、速度的に開演に間に合わないかもしれない(^^;、、、
一人、車で高速で向かう予定の彩は、祈るような気持ちで旭川に向けて走りました。
旭川に到着した途端のどしゃぶりの雨も、着いてしまえば恐くない(笑)
今日のこれからの時間を想像する度に、思わず笑みがこぼれてしまいます。

開場時間少し後に到着。平日とは言え、既に4,5人の方が並んでいました。
リハが押しているようで、狭い軒先でみんなで雨宿りしながら、耳をそば立てて待ちました。
ライブって、待っている時からライブ、ですよね(^^)

ここ、「アーリータイムス」は、ライブ喫茶&BAR?の所で、山木さんのライブ会場としては4,5年目の
お馴染みの所です。
古い木材が所々に見える味わい深い店内で、壁上側には、マスターお気に入りのレコードの数々が
並べて飾ってあります。

勿論、ふきのとうの1stアルバム「ふきのとう」も、少し色あせて、時代を物語っています。
本棚には「新譜ジャーナル」やギターブックの山。また、額縁にはマスターの青春を物語るチケットの
数々が、きれいに収められている中、ふきの解散コンサート「ever last」だけが、裏返しになっている
所に、マスターの想いが伝わってくるようです。

ステージを見ると、向かって右側が山木さんらしく、既に「KAWAI」?のギターがありましたが、左側の
石川先生の所にはまだ、ギターが置いていません。
「HAWAI」の文字のあるウクレレだけが、後ろの棚にちょこんと乗っています。

座席は木の長椅子が6,7列並んでいて、最前列は、山木さん達とは1mちょっとしか離れていません。
他の、都会の街のコンサート会場では有り得ない、ライブハウスが持つ親近感や、あたたかさを感じ
ます。

普段の山木さんのみのライブですと、女性客が圧倒的なのですが、今回ばかりは男性のお客の姿も
目立ちます。石川先生のすぐ目の前の最前列には、男性3人が並んでいました。恐らく、石川先生
目当てのギター弾きな筈。
自分の他に「山木さんだけが目当てではない」ファンがいる、それがうれしい。

まず最初に、「T'sT」の石川先生のギターが、マスターの手によって登場し、会場が暗くなって、
いよいよ始まりです。

曲名の後ろのカッコ内は、カポの位置を指しています。ウクレレの時は「ウ」としました。
でも、チューニングも頻繁に変えているので、参考にはならないです(^^;
(チューニングも書いた方がいいかな?)


第1部
1、「おめでとう乾杯」
2、「ジャマイカの風」(石:ウ)
3、「白い冬」
4、「風来坊」(山:5、石:0)
5、「思えば遠くへ来たもんだ」(山木:5、石:?)
6、「メロディ」(山木:3、石:1)
7、「寝ぼすけじいさん」(山木:0、石:2)
8、「なおちゃん」(山木:0、石:ウ)

第2部
9、「イーハトーヴの朝」(石:2)(と思ったけど、本当は5カポの筈?)
10、「Angi(S&Gより)」
11?、「22才の別れ」コーナー(笑)(山:3、石:?)
12、「再会」(山木:0、石:0)
13、「心に冷たい雨が降る」
14、「木蓮の花」(山木:2、石:0)
15、「しだれ柳の九月の雨」(山木:3、石:3)
16、「春雷」(山木:0、石:0)
17、「水の流れは静かに〜K」(山木:5、石:5)
アンコール
「おめでとう乾杯」
「やさしさとして思い出として」
「星の夜」


1、「おめでとう乾杯」
最初に山木さんだけで登場し、これを唄い出しました。
「天気もいいじゃないか」の所を「悪いじゃないか(笑)」と唄って、いつもとちょっと違うことに緊張
している、会場の雰囲気をやわらげます。
1番が終わった所で、山木さんの紹介と、大きな拍手の中、石川先生が登場して始まりました。


3、「白い冬」
これを始める前に、山木さんは言いました。
「この曲を石川先生と共に、ここで出来る、このうれしさ。わからないだろうな(^^)」山木さんの、
感無量の笑みがこぼれます。本当にうれしそう。

そうですよね、山木さんがこの曲でデビューした時、これをアレンジし、当時、既にプロとして確立
していた石川先生は、その時からずっと、山木さんにとって、「先生」だったんですよね。
この曲と、お二人が今まで過ごして来た経緯や時間を、お二人の笑みから、彩は思い馳せてしまい
ます。

そして、前奏、間奏と石川先生の音には、あたたかさが、まるで弟を見守るような暖かさが感じら
れて、「元気だったか」の言葉が聞こえてきそうで。
また、サビの所だけだけど、山木さんが通常ハモっている、あの部分を石川先生が唄い、お二人の
声が重なって、彩にも、なんとも言えないうれしさが、静かに熱く広がりました。

ふき時代からのファンにとってはなおさらの光景なのではないでしょうか?


4、「風来坊」
「CDでは確か、先生はチャランゴを弾いてましたよね?」と、この曲へ。
普段の山木さんのギブソンと口笛の前奏もいいのですが、やはり、石川先生のこぼれるような軽快な
音が、メロディにとても映えます。前奏ではまるでマンドリンのように、ギターでトレモロを弾き、
道東の空の青さと高さが見えるようでした。

前列の男性3人も身を乗り出すようにして、石川先生の指に釘付けです。
さすがの先生もやりずらいようで?、「ちょっと、なぁ(笑)、やりずらいなぁ(^^;」と、何度か、
この男性さん達を冗談のネタにします(笑)
そうは言っても、同姓からも注目されるのはうれしいのでしょうね。


6、「メロディ」
「あーなたのぬーくもりー」のサビの所、ただ1ヶ所だけなのですが、石川先生がハモります。
演奏に加えて、この声の重なり、それだけでこの曲がぐっと力強く、あたたかげに変わり、二人でやる
ことの意味の大きさを感じました。

終わった後、石川先生曰く、「俺、この唄、本当に好きだなー(^^)」と。
それで終わればいいのに、「いや、ヤマキの唄はキライで(笑)、これが一番キライで(笑)、
いや本当は、だから、これが好きなんだけどな(笑)」
そんな互いにテレてる所に、思わず笑ってしまいます(^^)


7、「寝ぼすけじいさん」
ここで念入りにニューニングを変えていました。この曲は2本のギターの掛け合いが面白いですよね。
二人が一番楽しんで、なおかつ競い合ってる感じがします。
次々と繰り出される音に、会場が引き込まれます。

この後の「なおちゃん」が終わって、一時、休憩となりました。
この時、男性さん達は後ろのお客さんに「どうぞ前へ」と後ろに下がってしまいました。
「自分達がいると、やりずらいみたいだから(笑)(^^;」
石川先生見たさに早くから並んでいたのにね、ちょっとかわいそうな気もします、、、


では、第2部の始まり、最初は石川先生のコーナーです。

9、「イーハトーヴの朝」
彩が聞きたかった、石川先生の曲の一つで、「WORDSU」の最初の曲。
CDを聞いているだけでは、とても初心者の自分には無理だ(^^;と思っていたのですが、
指先を見ると、アルペジオはかなり早いけれど、フレット移動が殆どなくて、目から鱗状態(笑)
でも、開放弦と低音のメロディの美しさが際立つ曲。(でも他の会場では、4弦が主にメロディでした)

山木さんもいち観客として、固唾を飲んで、先生の演奏を見守っています。
この時、気のせいかもしれませんが、小さく口笛の音が聞こえたような気がするのですが、これは、
山木さんが気持ち良くなって口ずさんだものなのか単にハウリングの音だったのか、今となっては
わかりません。

でも、CDで聞いて既に知って、生と比べられる自分がとても幸せに思えてしまいます。
演奏後、先生曰く、「ちょっとギター弾いている人には、とてもやさしい曲ですよ」
それを受けて、山木さん、「いや、俺にはあの、たらんたらんのトレモロみたいなのが出来ないな(^^;」
と。


10、「Angi」
石川先生、「きっとギター弾きはこの曲を知ってるだろうな。S&Gの2枚目のアルバムにある曲で、
昔、最初に耳コピした曲。今は自分のスタイルになってしまって、オリジナルとかけ離れてしまった
けど」と、始まった、強弱の激しい演奏の後、割れんばかりの拍手に、石川先生も大いにテレます(^^)

そこへ山木さんが感心します。
「鉄の爪付けて、よく出来ますね。やっぱりそれ付けると、びゅっと音が鋭くなりますか?
でも、俺には出来ないな」
「付けない音の方が好きなんだけど、人が大勢いる所では指だと、音がね」と石川先生。
(先生はこの先もかなりの頻度で、鉄の爪をつけていました)

ここで、山木さんが、「石川先生と言えば、やっぱりこれでしょう」と、コードを弾き始めます。


11?、「22才の別れ」
伴奏を山木さんが、リードを石川先生が演奏したのですが、惜しいことに、山木さんのコードが一部
違うのです。それでも、石川先生のイントロが始まった途端に、会場中が
「あー!あの唄だ!あれを弾いていた人だったんだ!」の雰囲気に(^^)
この曲が持つ意味の大きさというか、これだけで先生の偉大さがわかりますよね。
(演奏は前奏だけで、唄はありませんでしたけど)

「このフレーズは、先生が考えたものですよね?」と、山木さん。
「譜面には何も書いてなくて、イントロ何か、適当に弾いてっていうから」と先生。
「そのね、イントロ始まったらあれだ!と思わせる所が、すごいですよね。正やんも考えてなかった
でしょう。」「その場でやるのが好きでね、思い付きだから、もしかしたら、他のイントロをやって
たかもしれない(笑)」と、

「もしかしたら、これを弾いていたかもしれない」コーナーへ(笑)

次のフレーズは、繊細な感じの高い音の連なりでした。
山木さん、「これもいいけど、やっぱりあれの方が印象に残るよなぁ(笑)
あれが石川先生の音ですよね、てぃーんっていう、フォークギターなんだけど、なんか日本人をくす
ぐるような、その余韻の音がね、、、」

山木さんの感想に対し、乗ってきた先生(笑) 「じゃ、これはどうだ?」
山木さん「ワタシはカラオケですから、何度でも(笑)」とコードを刻み、先生から出てきたフレーズは
なんと演歌調(笑)、これには会場大笑い(^^)

山木さん、「これからはこの世界で、ですか?(笑)」

先生を乗せるのが上手い、山木さん。「他にはないですか?」と始まったフレーズは、低音を主体と
したエレキのような音。「正やんはこう弾くんだよな、、、ブルースみたいにさ」と先生、正やんの
真似をして弾きます(笑)
「正やんは今、「なごり雪」とか、こんな風に弾くんだよな、、、」

「長年やってる曲とか、古くさいと思われるから変えていこうと、唄い手は思うようだ。でも、聞き
手はオリジナルを求めるし、音的にも結局、オリジナルが一番いいし、それを新鮮な感覚で弾けば
いいんだよな」と先生。
それを受けて山木さん、会場に話しかけます。

「すごいでしょ。あの!20数年前にやってたあの音が、こうして、今、聞ける!」、会場も「うーむ」
と感心しきりの声。
そこへ石川先生、「普通だったらもう死んでるよなぁ(笑) 江戸時代だったら、さ(笑)」

すごいものを見ているのに、あまりに先生と山木さんがたのしげなので、なんだかお笑いのコーナーの
よう(^^)

山木さん「次、一緒にやらせて貰えませんか?」と、譜面を取り出します。
「私が、一緒に(先生の曲を)やりたいとリクエストを言ったら、「お前に出来るかな?(笑)」と、
コード進行とか、むずかしいのがない、この曲を選んでくれまして、「再会」という曲をやります」

石川先生、「でも今まで一度も成功してない(笑) 今日の旭川で初めてノーミスでいけそうな気が
する(笑)」と、プレッシャー(笑)


12、「再会」
この曲は、これを聞いてくれた人と、いつかまた再会出来るような気がする、という、石川先生の
想いが込められているんですよね。何度も何度もCDで聞き惚れていた曲。
それを目の前で、石川先生と山木さんが共演してる、、、
彩、北海道に住んでいて、お二人の音に出会えてよかったと思う瞬間でした。

終わった後、石川先生が山木さんに握手を求めます。会場も熱い拍手!
山木さん「上手く出来なかったら、叩かれるんじゃないかと思いまして(笑)」
そんな軽口も、会心の出来、だからこそ(^^)

ここで山木さん、「次は「心に冷たい雨が降る」です」と紹介して、拍手が起こっても、まだ石川先生
のチューニングが終わっていなかった為、MCを続けます。(この曲は1弦を1音下げるんですよね?)

「普段なら、この先生のチューニングの姿を見るだけで、5000円です(笑)」と、山木さん。
「1年くらいなら、日本全国騙して歩けます(笑) 石川鷹彦チューニングコンサート!(笑)
またはイントロコンサート(笑)」
石川先生もチューニングに追われながらも、つい、話に乗ってきます。

「1部、イントロで、2部、エンディングはどうだ?(笑)」
(彩:これはこれで行ってみたい気がする(^^))


「心に冷たい雨が降る」の後、山木さんが言いづらそうに?説明します。
「ここから先はカラオケを使ってやります」と山木さんが言ったのには、正直驚きでした。
「カラオケといっても、CDからつくった、石川先生が演奏してるものなので、違和感なく聞いて
欲しいと思います」

確かにその辺のカラオケの音ではないにしろ、それの音で、ギターの音が全面に出ず、また、この
狭いライブハウスでそれをやるのはもったいないな、と感じたのは、私だけでしょうか。
これにはきっと、意見が別れるところでしょうね。
(「木蓮の花」「しだれ柳の九月の雨」「春雷」とそれが続く)


17、「水の流れは静かに〜K」
CDの長い長いイントロをバックに、山木さんが今日をまとめます。
また、石川先生の「里帰りしたようだった」の言葉に、会場から拍手が起こります。
(先生は小学生の頃、旭川にいたことがあったそうです)

私は思うのですが、いつかの(山木さん)誕生日ライブでも、これを最後にされていましたよね。
山木さんはきっと見せたかったのだと思います。そのご友人のK氏に、誕生日を祝ってくれるファンや、
今回の先生とのライブを山木さんは見て欲しかったのだと、私はこの選曲に感じました。


アンコール
「おめでとう乾杯」
熱い手拍子の中に再び現れたお二人。山木さん「みんなで一緒に声を出して唄うのはどうでしょうか?
今日の出逢いを、、、でも"TOKIO"に先を越されて悔しいですが、長淵剛も唄ってますが、、、
私は完敗でした(笑)」

会場(、、、、ぱらぱらと拍手が(笑)、、、(^^;)
(この後、しっかり、山木さんから「にぶーいお客さんの為に(笑)(^^;」と、ダジャレの説明が入り
ましたが、まばらな拍手は別のせいだったのでは?(^^;)

「乾杯の所は”かんぱーい!”と声をあげましょう」と始まりました(^^)
山木さんの張り上げる声に石川先生もハモり、お客さんの手拍子も熱い熱い。
サビでは本当にみんなで、声と手を張り上げてのかんぱい!

途中、「誰か今日か最近、誕生の方、お祝いしますよ」の声に誰も名乗りをあげません。
「家を買った人、子供生まれた人、、、いない?わぁ、今日は不幸な人達ばかりだな(笑)(^^;」

マスターのお子さんが昨日誕生日だったとかで、みんなでお祝いしました。

この後、「時期的にこれが丁度いいかな」と、山木さんが「星の夜」をしみじみ?唄い上げている
ように見えました。山木さんの声がかすれて、会場も息を飲む程、、、でも山木さんがそういう時って、
目をつぶって、上を向くことの方が多いような、、、今日は下を向いて、何かを堪えているよう。

「何に堪えているのだろう?」、?な私は翌日、その訳を知るのでした(笑)
(という訳で、小樽編もお読み下さいね(^^))

名残惜しそうな大きな拍手の中、今日のライブ終了です。


おまけ:サイン会&打ち上げ編
山木さんの「静かに水の流れ〜」がかなり売れていました。みんな、石川先生にもサインを頂こう、
としてのことのようです。
その中で私は念願の「WORDS」に、私の名前と、石川先生のサインを頂きました(^^)v

この会場は参加費さえ払えば、誰でも参加OKの打ち上げがあるのです。
晩ご飯もビールもしっかり出ますから、経験者はみな、お腹をすかせてきます(笑)
今夜のメニューはジンギスカンでした。北海道以外の方には馴染みのないものかもしれませんが、
北海道人はとかく、人が集まると、とにかくジンギスカン!になります(^^) 
(今は少なくなったケド)

会場中に煙が立ちこめる中、ビールを持って乾杯!です(^^)/

石川先生も山木さんもステージ衣装から、黒いTシャツに着替えていました。
それにしても、ほんとーに黒の似合う方々だ(笑)

途中、お客のギター弾きの男性が、マーチンのトリプルオーを持ってきて石川先生に見せて弾いて
貰っていました。そこで、その男性と石川先生が「Desperade」を合奏することに!
しばし食べるのを忘れて聞き入ります。

それと、マスターのお願いで、石川先生が色紙にサインを。
「音があり、出逢いがあり、盛り上がり、素晴らしい最高の夜に乾杯!!」

文章もいいけれど、先生のサインもかっこいいです。ギターの絵の下に「石川たかひこ」の文字と、
山木さんのサイン。
それと、先生直筆、マスターの似顔絵付き(笑)、、、それがよく似ていて笑ってしまいます(^^;

みんなで記念写真を撮って、この夜はお開きとなりました。(PM12:30)